素通り通信

愉快な記録です。

園芸委員の思ひ出

小学校六年生のとき、委員会活動で、わたしが希望した購買委員は男子1名女子1名の狭き門への希望者が多く、担任が決めたのは、クラス一の美女だった。

たしか、第三希望まで書いて、それを読んで担任が勝手に割り振るシステムだったのだ。

担任、お前にそんな人事権限があるのか、他のクラスは希望がかぶったらジャンケンとかで決めるぞ。せめてくじ引きとか。

で、結局私は第三希望まで書いたどれにも当てはまらない園芸委員をあてがわれた。
購買、放送、広報掲示、みっつ書いたのに。

園芸委員である。

なぜ私の購買委員の第一希望を通してくれなったのだ。年間売上を倍に伸ばす自信があったのだが。
それでもクラス一の美女に譲れというのか。
世の中見た目が100%である。
六年生には重すぎる、この世の真実であった。

園芸委員とは何か。
やたら敷地の広い学校の各所の花壇や植木を任されるのだ。

そして、私は結局、園芸委員の副委員長になった。
委員長は仲良しの女子で、そいつは頭がよかった。
因みにそいつも園芸委員は第三希望までに入っていなかった。
園芸委員は人気がないのだ。

あなたたちなら、立派にやってもらえると先生は信じているの。

担任は私たちを前に、そう言った。

うそつけ、えこひいき担任め。

しかし、この逆境を私たちは全てプラスに変えることにした。
悲しんでいられない。
顔で選ばれないなら頭脳で勝つしかない。

とりあえず春先の種まきの時期に結託して【最終的に食える植物だけを植える】活動をした。

綺麗な花?知らん!

園芸委員の顧問の教師が、意外と話のわかる人で種や苗を斡旋してくれた。

そして、後輩たちを盛り上げて巻き込み、適度に委員会全体で活動を頑張り農作業に精を出した。
そして秋の全校一斉掃除の時に、全校生徒が一箇所に集めた学校じゅうの落ち葉を焼却する、という活動の日、園芸委員にアルミホイルで包んだサツマイモを持参するよう委員長と裏で手を回し通達し、壮大な焚き火を行い芋を焼いて食べた。
焼き芋大会である。

その他、春に植えた食える植物は片っ端から委員会活動を名目に収穫して、すべて園芸委員の家庭に配られた。

自給自足。
園芸委員はパラダイスのように楽しい時間を過ごせる委員会となった。

たぶん、わたしは、その頃に漫画、漂流教室を読んだんだと思う。

何故か覚えているのは、小学校の卒業前の謝恩会の時、座席が委員会別に割り振られていた。
2クラスしかない学校だったので、定員があっていい具合にシャッフルして着席できるのが【委員会別】だったようだ。
しかし、農作業に励み収穫を楽しんだ仲間の結束力は半端ない。
謝恩会で一番、盛り上がっていたのが園芸委員会の席だったことは言うまでもない。

私とペアを組んだ委員長の子は、その後医師になった。

どんな環境でも楽しんだものが勝ちである。
私は園芸委員の活動からそれを学びました。

この話はフィクションです。