素通り通信

愉快な記録です。

ホットロードを読んだ

80年代に流行した暴走族少女漫画「ホットロード」を読みました。
なんかコンビニで売ってる、紙の質が雑誌みたいで全部収録されてるやつが
とても安かったのです。
中学生のころやたらとホットロードや作者の紡木たく先生の書いたほかの漫画が周囲で流行しており
心酔した友人たちは登場人物の名前がそのままあだ名になっていました。
スゲエ。
それってピンクフロイドが好きだから私のことシドって呼んで!っていうようなもんでしょ。
私もそれにしたがって友人たちを漫画の名前で呼んでいました。
おかげで本名が思い出せません。
で、そんな状態でしたので
漫画の貸し借りは行われていたわけで、たしか私も当時読んだのですが
あまり覚えてなかったので買ってきてしまったのです。
ホットロードとはどういう話かというと
家庭に問題のある女子中学生が暴走族の集会に行くようになって荒れていき、そこの暴走族の男と付き合うようになり、いろいろある。
という話です。
要するにとんでもないDQNの物語です。
今でいうところのケータイ小説あたりに集約されてる文化でしょうか。
読んでいて驚いたのですが、DQN同士の濃厚なセックス・シーンや
主人公の女子中学生が暴走族の男たちにレイプされるシーン、などはありませんでした。
そういう話ではなかったのです。私の記憶の中には存在していたのですが。
なんか恋空かなんかと頭のなかで混ざっていたのかもしれません。
その主人公の女子中学生とDQN暴走族男は、同棲生活をしていましたが
キッスどまり(Aまで、というやつ)でした。
暴走族の男は、大事にしたいからといってセックスはしないのです。
やはり、このへんは80年代のDQNと恋空のDQNの違いでしょうか。
いや、そうは書いてありますがペッティングくらいは行ってるんではないか、いや
そこまでいったら先っちょくらいは挿入しているのではないか
私はそんなことを読みながら想像するかなと思いましたが
そんな想像を打ち消すほどの純潔さを保っていました。本当なのか。
本当に16歳の若者が女子中学生と毎晩寝泊りして何もしないでいられるのか。
16歳くらいの若者の性衝動というのはそんなものなのか。
疑いつつもどうも本当に純潔そうなカップルなのです。
ではどうやって性欲を抑えていたのでしょうか。
いや、そんな想像すらためらわれるほどの純潔の純愛がそこに展開されていたのです。
でも毎朝ビンビンだったのではないかと、その苦しさは想像はできました。
とにかく二人は同棲までしますが、セックスはしません。
最後は3年後くらいまで進むのですが、まだやってないようです。いや、やったのか?
で、ストーリーですが
暴走族の総頭に上り詰めた男は、なんか大事故に逢ったりして、主人公の家庭内不和も解決され
成長して最後は終わりました。
主人公は中学校もろくに行かないでノーヘルのDQNの暴走族の総頭とつるんでばかりいる。
人生というのはそういうことをすると、ろくなことにならないので常識的に考えるとそういうものに憧れるということに対してまったく理解できないのですが
昨今のケータイ小説よりも心象描写が丁寧で、主人公の中学生が暴走族に浸かっていく過程の描写やDQN男と付き合いだすまでのお互いの心の動きとか、それをとりまく周囲の大人たちの言動とか、結構わかりやすかったというか納得がいくというか。
DQNたちは「何が何でも大人が不条理だ!」とか、「大人はわかってくれないんだ!」とか
一方的にDQNの超絶論理だけを書いているわけではなく、大人の側の事情とかそういうのが描かれていたのでDQN理論のおろかさや滑稽さも汲み取れるようにあっております。
あと暴力描写もそんなになく
不良は皆本当は優しい的な刷り込みもなく
暴走族に対するまっとうなネガティブな意見なども書いてあり
なんか割といい漫画だと思いました。
あと当たり前なんですが当時は携帯もメールも無いわけですから、電話も電話ボックスから自宅にかけたりしてたんですよね。
なかなか味わい深いものです。
とはいえDQNはDQNですから、「ナイツ」なんて名前の暴走族が出てきてしまうと
DQNがヤホー漫才かよ、とか、まったく意味の無いツッコミを入れてしまいたくなるのです。
そして平仮名の多さに知性のなさが現れているというか。
やっぱり暴走族なんかになってはいけません。
窃盗を繰り返した主人公が法的に罪に問われてもなく、償ってもいないのも頭にきます。


そういえば映像化されてないですよね、昨今だと物凄い勢いでドラマ化映画化され、ごくせんのように一人歩きしそうなものですが。
当時だったら誰ですか。80年代後半。成田昭次あたりがやるんですかね。彼ならジャニーズ臭くないからいけたかもしれません。
セックスもなし、無駄に暴力で物事を解決せず、主要人物は決して死なない。
これが80年代のDQN物語なのですね。