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素通り通信

愉快な記録です。

人生に行き詰まると生ハム原木を買う女の話

1月下旬に、いつも出入りしている地元のライブバーで、生ハム食べ放題イベントというのを開催した。

お店と共同企画なので主催ではないし、共同出資という形になったんだけど、とりあえず私はハム隊長でした。

で、生ハムを買うのは3回めということで、私が手配しました。

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思えば最初に生ハムを買ったのは、自分のワンマンライブの時で、その時は、かなり情熱を注いでいたバンドを辞めることになって、かなり精神的に追い詰められてしまっていた。

精神的に追い詰められると私は生ハムを買うのだ。

2度めは2015年の終わり、私は40歳になるので、自分で自分の誕生日を祝うイベントを主催した。

ついに、40歳を迎えるという、精神的に追い詰められている状態だった。

その2015年の12月23日にお店に設置した生ハムは、当日に食べきれず、店に鎮座しており、皆が少しずつ食べていき、ハムは店で年を越した。

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今年は一晩で食べ尽くしたいな。まあ翌日くらいは残ってもいいかもしれないけど。今回は、そんな、ささやかな目標があった。

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ところで、昨年末に久しぶりにパニック発作的なものを発症した。

あるイベントで登壇して話している時、なんとなく失敗プレゼンのありがちなミスを着々と重ねてしまい、普段はそんな事は気にしないで「むしろお前らが間違ってんだオラオラ」なメンタルで進められるのに、どんどん心臓の動きが早くなり、呼吸が苦しくなってくる。

手が震え始めた。よかったパワポ時代で。教師時代だったら黒板で文字が震えて大変だっただろう。

言葉を間違えるたびにテンパって訂正し、冬なのに異常発汗。

そして、ふとデジタル時計を見たら、数字が急に読めなくなったのだ。これは何時を示しているんだ?

あまりに私の状態がヤバイのに気づいた先輩が次の会の発表を代わってくれた。

イベント自体は乗り切れたが、その一度のパニックでの失敗は自分の中でズルズルと尾を引いてしまい、結局その後精神状態は一気にがっくり悪化していき、殆ど出勤できない状態になってしまった。

きっと出勤できてしまえば元気にモリモリ働けるんだろう。

やりたいこともやるべき事も分かっていた。周囲の人たちにも恵まれている。いい環境なんだ本当に。なのに出勤ができない。処方薬を少々変えてもあまり効果が見られない。

私はこのままどうなってしまうのだろうか。

確実に見えなくなっていく足元の世界。

でもハムの注文は忘れなかった。

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生ハム原木は、届いてすぐ食べれるものではない。開封して外気温となじませた後に

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毎日オリーブオイルで磨いたりして、およそ10日間、最高の状態に仕上げていくのだ。

エアコンが壊れたままの我が家は平気で室温が5度を切る。冷蔵庫じゃないか。

生ハムを磨く毎日は少しずつ私の精神状態を安定させていった。

しかし事件は起こる。

生ハムイベント前日、会社から戦力外通告を受けたのだ。 

要するにクビである。

 

どうしてだろう

あんなに楽しくやっていたのに

いつか、ここを去る時は色紙にメッセージ貰って

花束とか貰っちゃって

送別会は魚民でいいっすとかいって

でもあちこちの部署の人が参加したいって魚民にいっぱい人が集まっちゃったり

取引先の人まで来てくれちゃったり

「即戦力として元気に貢献してくれて結果も出してくれて大変助かりました」と上司に惜しまれるスピーチをしてもらって拍手されて

「未経験の業種でしたが常に全力でやりきれました、次の仕事も、同じIT業界の予定なので偶然の再会などありましたら気軽に声かけてください」と、有終の美を飾る挨拶をして

集合写真とか撮っちゃって

 

そんな風に去るんだと思っていたのに

もう来なくていいんだって

荷物はまとめて後から送りますだって

 

また、クビになったのか

会社って何度もクビになるんだっけ。

(結果としてはその後産業医判断で、春まで休職扱いとなりましたが、この時点ではクビになったと思っていました)

どこで間違えてしまったのかな

全部、私がいけないんだろうな

 

とても大切なものでした

失ってから気づきました

とても大切なものなのに

この手で僕が壊しました

 

それでも私には生ハムイベントがある、ということで、とりあえず到着するなりラード落としに熱中。

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前回出演者だお客さんだ何だと適当に切りたい人は切って食え状態にしたら、ちょっと失敗したので

今回は、ハム切り専用係をスタッフにお願いしました。

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この采配が的中、ものすごいハム切るのうまかったです。天才現る。

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なめらか〜

そして「生ハムに合うトッピングの差し入れ募集」したら、集まりまくりまして、豪華なテーブルであった。

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クラッカー、パン、野菜、チーズ、サンドイッチ

これだけつまみが揃えばドリンクもよく売れるわけでして。

そして、終盤にはお客さんから多量なお寿司の差し入れまでありまして。

こんなに食べた後にお寿司食えるのか皆様、と、思ったら、あっという間に空っぽになってしまった。

生ハムイベント、大成功に終わりました。

その後、生ハム3号は、翌日のお店のイベントで消費され、その時点で骨骨状態にまで痩せていったとのこと。

最後に削ぎ落とした肉で、お店のマスターがジャーキー作ってくれました。

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これ、最高にうまかった。

うん、うまくいったと思うんだ。

人生に行き詰まった四十路女が買って来た生ハム原木。6.5kg

多分みんな、しばらく忘れないでいてくれると思う。ライブバーで生ハム一脚食べたこと。ライブの内容とかは忘れてるかもしれないけど。

楽しい思い出を目一杯共有できました。

 

この、通常ありえない企画に乗ってくれた皆さん、ありがとうございました。

きっと私はまた、何度も人生に行き詰まることがあると思う。

そしてそんな時、生ハムの原木を買うのだろう。 

 

帰り道、ギターと機材と抱えて乗ったタクシーの運転手が、何度目か会う人だった。毎回、よく話す。

で、その人の息子さんが30超えてもバンドの夢を追いかけて、定職につかずにいるそうで、言われました。

「あなたは偉いわね、会社員だもんね、両立してて」

思わず「まぁ趣味ですから〜」なんて調子よく返事したけど

あ、会社クビになったんだった。

もう両立してないんだけど、、、、

言えるわけないよ。

タクシーを降りて、寄ったコンビニの前で、少しだけ泣いた。

 

私は、どこで間違えたのかな。

 

ライブの事には触れてませんがそれはあっちのブログで。

チャオ!